ユーロ/円相場は、7月24日の1ユーロ=132.74円をピークに、足元では129円台後半まで値位置を切り下げる展開になっている。ユーロ圏経済は総じて堅調に推移しており、実際に対ドルではユーロ高傾向が持続しているが、円が主要通貨に対して全面安の展開になる中、ユーロ/円相場の地合も悪化している。
欧州ではポルトガルの政局を巡る混乱状況が一服したことで、欧州債市場は落ち着きを取り戻している。一時は8%水準まで急騰していたポルトガル10年債利回りも、6%台前半まで低下している。一方、ユーロ圏の経済指標では7月の消費者信頼感指数が-17.4となったものの、市場予測は上回っている。また、7月のユーロ圏総合PMIも1年半ぶりの高水準に達しており、ユーロ圏経済が徐々に復調に向かっていることが強く印象付けられる状況にある。ただ、8月1日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、フォワードガイダンスの修正が行われる可能性があり、緩和策の強化方針が示されると、ユーロに対して一段と調整圧力が強まる可能性があるため、注意が必要。なお、利下げは見送られる見通しになっている。
一方、7月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、円高圧力が強くなっている。米欧で同時に低金利政策の長期化に対するコミットメント強化を模索する動きが活発化する中、日本銀行の緩和レベルの強さが相対的に後退していることが、円売りポジションの巻き戻しを促している模様だ。FOMC、ECBでフォワードガイダンス強化の動きが強まれば、更に円安修正の動きが強まるリスクには注意が必要。ただ、緩和レベルとしては日本銀行の先行性には何ら変化がみられず、円安トレンドそのものに修正を迫るような動きとは考えていない。
今後1週間の予想レンジは、129.00~131.00円。